池の平・幻の池

2010.7.24
走行距離:590km
実行人数:1名

静岡の山間部に7年に1度、数日間だけ出現する幻の池
異常気象の影響で今回は12年ぶりの出現です!

5年遅れの"約束"










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浜松市天竜区水窪町の山中に出没し「遠州七不思議」の1つに数えられる幻の池
が、12年ぶりに出現している。
池が現れると毎回多くの見物者でにぎわうが、今回は現地へ向かう林道は先週の
大雨で落石があり通行禁止に。
地元の水窪観光協会は「安全確保のため見に行くのは見合わせてほしい。次の機
会を待って」と自粛を呼びかけている。

同協会などによると、幻の池が現れるのは佐久間町境に近い標高880メートルの
亀ノ甲山の中腹にある「池の平」と呼ばれるくぼ地。ふもとの登山口から山道を約
1時間半ほど歩いてようやくたどり着く。
スギやヒノキに囲まれた場所に、7年に1度ほどの周期で7〜9月にかけて突如とし
て池が現れ、数日から1週間ほどで消える。出現の謎は解明されていない。

今月20日昼すぎ、池の平を訪れた地元住民が池を発見した。旧水窪町の記録で
は、近年では1975年、82年、89年と周期通りに現れたが、前回は2年遅れて98年、
今回は実に12年ぶりの出現となった。

池の広さは約70メートル×約40メートルで、水深は1.2メートルほど。
21日に行政職員が確認に訪れたところ、深さは約1メートルと水位は下がり始めて
いて、今週末には消えるかもしれないという。

                                   2010.7.22 「中日新聞」

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2010年7月21日&22日に、このような記事をネット上で目にしました。
興味を持っていろいろ調査してみました。
行けないと言われるとなおさら行きたくなるので、正攻法で行ける方法がないものか
といろいろ考えました。

で、行ける目処がたちました。
あとは時間との戦い。池が消滅する前に一目見ねば、次は7年後。
もしくはまた12年後とかかもしれないし、もう二度と出現しないかもしれない。

善は急げ。7月23日深夜、僕は横浜の片田舎を出発し、「天竜川」に向けて愛車の
「bobBy(ボビー)」を走らせます。
相変わらず足回りは不安だけど、先週「青森ドライブ2010(3-92)」でメンテナンス
したばかりだからなんとかなるよね?

深夜の出発

0:28 横浜出発

1:03 東名高速道路 横浜町田IC

目指すは静岡県なので、使うのは東名高速。ガンガン西へ走ります。

2:12 富士川SA

ここで眠くなったので仮眠しました。
もう世間は夏休みからか、結構駐車車両が多くて賑わってる。


4:00 起床

4:12 出発

空は少し明るくなってきました。
栄養ドリンクで無理矢理パワーをもらいつつ、出発。ちょっとフラフラ。

4:52 牧之原SA

ガソリン給油のために立ち寄りました。


5:17 浜松IC

ICから降りて国道152号に乗る。
ここから「天竜川」沿いに1時間半ほど遡った水窪っていう地区が「幻の池」に近い
らしいです。

浜北に朝日が昇る

途中、浜北のコンビニに立ち寄りました。
簡単に朝食にしつつ、同時に非常食用のパンを購入しておきました。眠い。


国道152号を「天竜川」沿いにひたすら北上します。
「天竜川」、濁っていて汚い。先週あたりの豪雨の影響っすかね?
だんだん山の中に入っていき、障害物も無くてハイスピードで走れます。

天竜川

<道の駅 天竜相津花桃の里>
5:56 道の駅 天竜相津花桃の里

「天竜川」の河口から33kmのところにある道の駅です。ここでトイレ休憩。
目の前には川に架かる「夢の架け橋」っていう橋がある。全長47mもあるらしい。

道の駅と夢の架け橋

さらに北へと走る。本当だったら6:00くらいには登山道に到着していたかったんだけ
どな、甘かったか。
登山道を探したりするのに手間取ると思うから、なるべく早朝の人のいない時間帯
に自由に徘徊したいのだ。

朝日が差す天竜川沿いの国道

日が昇ってグングン気温も高くなる。
「天竜川」からは水蒸気が立ち込めて幻想的な光景です。
今日快晴でも暑くなりそうだなー。
ここ1週間、連日最高気温が35℃以上とかで、やってられない。こんな中で山歩き
とかしちゃって大丈夫なのかね?

だんだん道は狭くなる

国道152号は結構狭くなってきました。擦れ違いも少し困難な場所がある。
ここいらは「天竜川」じゃなくて、その支流の「水窪川」なんだね。


今回目指すのは「池の平」という「亀ノ甲山」の中腹にある窪地。
そこに「幻の池」が出現しているのです。
「池の平」へのメインルートは水窪地区からの登山道。
しかし今回はその登山道入口までの林道が先日までの大雨で崩れ、復旧までには
数ヶ月を要すような惨事になっているようです。

いろいろ調べてみると、「亀ノ甲山」への登山ルートはちょっとマイナーだけど水窪以
外にもある様子。
「亀ノ甲山」に行く未知が他にあるということは、そこを伝って「池の平」にもいけるは
ず。
その登山路の入口が、国道152号から県道290号に入った今田集落というところにあ
るっぽいです。
Yahooの地図にも掲載されていない、小さな集落です。

手元の地図と慎重に見比べて集落を特定し、集落内に入る。
高低差のある山肌に九十九折に狭い道が続き、その両脇に民家が立っていたり、茶
畑があったり。
とても車を停めるようなスペースはありません。

集落の外の県道290号までまた戻り、道路脇の駐車帯にbobByを停めました。
この手段、ごくわずかな訪問者だからこそできる技だね。2・3台しか停められないし。
今度とも、「幻の池」が出現したときのアプローチルートとしてここが公表されることは
ないだろうな。

6:56 今田集落

今田集落

山深いのどかな集落の中を1人歩く。
そういやここはもう静岡県と愛知県と長野県の県境付近。そりゃ山も険しいよな。
畑仕事している人、集落内を歩いている人はみんな「おはようございまーす」と挨拶
してくれる。あ、いい雰囲気。

集落の奥へと向かい、急な坂道を淡々と登る。
もう既に結構汗かいてきたぞ。


<下宮神社>
7:18 下宮神社

やがて、下宮神社が見えてきました。
登山路までにある唯一の目印といっても過言ではないスポット。
神社の社はすごく簡素な小屋みたいな感じだったけどね。


僕の地図によると、この北から登山路が出ているはずなのだ。
慎重に確認し、集落の最深部に向かう道から外れて茶畑の脇の路地を登る。
ここでいいの?なんか普通の民家の庭の脇の道っぽい。

周囲の山々

目印の神社

茶畑から登山路へ

茶畑の脇の路地は唐突に終わり、草ボウボウの小道に繋がっています。
…ここ?
「亀ノ甲山」とも「池の平」とも書いていない、およそ登山路らしくない入口。
不安だけど入ってみます。
あーあ、今まで擦れ違った人に道を聞いておけばよかったな。

7:21 登山路

茶畑から続いている、農作業用の見にケーブルカーの線路みたいなヤツもすぐに
途切れる。
最初は不安なくらい狭かった山道も広くなり、「ちゃんとした登山路なのかな?」く
らいに思えるような道になった。

祠を左へ

ガンガン登るぜ

なんとなく一番広い道を辿りながら登っていく。
地図によるとあとは基本一本道でひたすら北に向かえばいいっぽい。

しかし立て札は皆無だし、人も皆無。
ホントに「池の平」に向かっているのか、そもそもここは正規の登山路なのか、不安
は募るよ。
しかしよくよく地面を見ると、まだ新しい足跡がある。
これはここ2・3日以内のものだよね?ちょっと勇気が湧く。

道の左は壁そして右はすぐに断崖、といった道が続きます。
なんか登山路自体が右下がりに斜めってるので、変に体重がかかるぜ。
ちょっと崩れかけている部分もあって、正しいルートなのかまた不安になったりする。

人間だっ!

歩き始めておよそ30分。初めて他の人を発見しました。2人の男性。
よかったー、すげー安心するー!
すぐに追いついたので挨拶がてら話をする。
やっぱり行け目当てで来ていて、残りの所要時間を気にしていました。
必死に地図を見ながら歩いていたので、やっぱ不安だったのかなー。

「お先に!」って行って抜かさせてもらった。
よーし、元気出てきたぞー。
まぁぶっちゃけ足のコンディションはあまり良くなくてね。

先週の「青森ドライブ2010(3-92)」のときに青森県の「白神山地」でボコボコに蚊に
刺されたんですよ。
どのくらいかっていうと、125箇所くらい。そのうちの80箇所くらいが足首から先。
ちょっと足が変形するくらい刺されたし、歩くと熱を持っちゃうくらいだったのです。
今は多少良くはなってきているけど、まだまだ万全には程遠いや。

湧き水発見

歩き出して40分後の8:00頃、ひとしきり登りきって尾根に出ました。
なんだか複雑な分岐があって、どっちにいったらいいのかわからん。
とりあえず、地図を頼りに勘で歩いてみた。

杉林に囲まれた窪地がある。今までネット上で見た「池の平」ってこんな感じの光景
だったな。ここが「池の平」だったりしないよね?
全然水がないから、ここが「池の平」で既に水が干上がっていたとしたらショックだ。

ここじゃないですよね?

杉の林の中の窪地に沿って少し下っていくと、ここで初めて立て札が現れました。
ボロボロで膝丈くらいの小さな立て札。
そこに『池の平 10分』って書いてありました。
よーし、「幻の池」は近いぞー!
すぐ先にあった鳥居をくぐり、登山路をズンズン進む。

あと10分

鳥居をくぐる

そして5分後…。
迷子になりました。

うーむ、どこで人生間違ったのだろうか。
どこが道でなのかさっぱりわからん。杉林の中のもっとも広くて平らな道らしきとこ
ろを選んで歩いてきたつもりだけど、先を見ても後ろを見てもなにがなんだか。

トリックアートとかで、今まで認識できていた図形が一瞬目を放した瞬間に認識で
きなくなっているような、そんな感覚。

道を見失う

こりゃ無理して進まないほうがいいな。
さっきの立て札のところまで帰ろう。あそこまでは100%正しいルートだったんだから。
それにあそこまで戻るころにはさっき出会った男性2人とも合流できて、道を相談さ
せてもらえるぞ。

5分後、また立て札のところまで戻りました。
もう一度立て札をまじまじと観察する。

あ、立て札2つあった

うん、立て札は2つありました。さっきの死角に「亀ノ甲山」の立て札があった。
2つはそれぞれ角度は違うということは、矢印こそないものの、それぞれの方向を
指しているんだろうな。

そう考えると、僕は「亀ノ甲山」方面行ってた。
改めて「池の平」方面を見ると、ちょっとわかりづらいけどもう1本道があった。
良かった良かった。正規のルートはこっちだね。
10分無駄にしたけど、行き先を発見できて一安心。

歩きやすい下り坂をサクサク下っていると、さっきの2人が前方に見えてきた。
「あれ?なんで後ろから?」
「いやー、鳥居のところで道間違えちゃいまして…」
そんな会話をし、再度前に立たせてもらう。

もうちょっとだ。「幻の池」はまだあるだろうか?
今日はギリギリで存在、明日には消滅するくらいだと思うんだ。
頑張ってここまで来たんだから、是非とも一目見たいよな。
なにせ最短でも7年に1回なんだから。
7年後にまたここに来れるほどヒマで元気な保障なんてどこにも無いもんな。


<池の平>
<幻の池>

8:18 池の平

あとちょっと

池の平到着

幻の池の説明も

池の平に着いた!登山道から徒歩1時間でした。
「着きましたよー!」
数10m後ろにいる男性2人に到着したことを教えてあげました。

でも、池はどこだ?
立て札の位置から察するし、この立て札の後ろに広がっているはずなんだと思う。
しかし全然ないんだ。
ちょっぴり地面は湿っているので少し前までここに水があったのは事実。
おい…、もしかして僕は遅かったのか?幻の池を見ることは出来ないのか?

男性2人も僕の横に到着した。で、同じように肩を落としました。

いや、でも希望はまだゼロではない。
「僕、探してみます」
より標高の低いほうであれば、まだ水が溜まっているかもしれない。
ガサガサ奥のほうに向かってみました。

ちょうど奥の方から中年ご夫婦が戻ってきて、「池はまだ奥に残っているよ!すぐ
先だから見ておいで!」って声をかけてくれた。
やったー!
ついに、幻の池とご対面だ!

幻の池、出現

池の周りには僕ら3人だけ。
例年は池の出現時期の数日間だけで1万を超す人が訪れ、登山路も渋滞だし池の
周りもギュウギュウになるらしい。

しかし、今は静寂の森の中に3人だけ。
土砂崩れのお陰と言ったら変だけど、こんなことって後にも先にもあまりないかも。
今回は諦めずにしっかり自発的に調査をした人だけがここに辿りつけるんだな。
その中の1人になれてよかった。

木漏れ日

水面に浮かぶシダ

幻の池&YAMA

幻の池、鏡のように透き通っています。水がすごく澄んでいるんです。
水の底の枯葉とか落ちた枝とかもはっきりと見える。
水中にあることで、よりみずみずしさがUPしているように感じられる。

なんて言うのかな、例えると本物のフルーツが入っているゼリーというか。
コーティングされていることでより一層美しい。
まさに森のショーウィンドウと言うべきか。

この池の特徴は、木漏れ日が作る水面の色のむらと、水面に浮かぶシダの緑が
演出する色のアクセント。
今日のこの眩しい光があってこその光景でもあります。

池の上の陽だまり

現在、池の水深はおそらく50cmくらい。
出現から4日、大体1日で20cmくらいずつ水がなくなっているんだろうな。
きっと明日には水たまりみたくなっているだろう。
例年は1週間〜10日ほど出現していることもあるそうだけど、今回のは寿命が短い
らしいです。

池の大きさは現在20m四方くらい。
周りは水が引いたばっかでぬかるんでいるので、僕も片足沈没しました。

日陰に回り込む

日陰も日陰で味があっていいっすね。
池の周りをグルグル歩いて観察しました。そんでいろいろな角度から撮影しました。

前回のこの池の出現は12年前の1998年だった。20世紀だ。
当時はまだフィルムカメラがメインで、デジカメなんてロクに普及していなかったし、
デジカメ自体まだ画質も容量も無くってイマイチな代物だった。
もちろんカメラ付きの携帯電話もなかった。

気軽にデジタルでバシャバシャ撮って、ホイホイ簡単にサイトにUPできるのは、今
回が初です。
しかしその初の機会にここまで到達できる人はごくわずか。
せめて僕が精一杯記録に残さねば。

再びの出現を願って

池に滞在することおよそ40分。その間他には誰も来ませんでした。
さて、ではそろそろ帰ろうかね。
「ありがとー!お気をつけてー!」
男性2人とお互い別れを言い合い、1人来た道を引き返します。

9:00 出発


途中、10数人・計4組ほどの人と擦れ違いました。
「あとどのくらいですか?」とか「まだ池はありましたか?」とか聞かれる。
笑顔でいろいろ答えてあげたよ。
みんな、頑張れ!

登山路では、セミが賑やかに鳴いています。そういやセミの鳴き声を聞いたのはこ
れが今年初ですな。
もう睡眠不足と猛暑で結構お疲れなので、何も考えずに黙々と歩いた。

山を下る

9:42 登山路入口

40分で山を降り、今田の集落の茶畑まで帰ってきました。
暑ーい。もうメッチャ汗かいてるし、暑すぎて軽く頭痛がします。クラクラする。

登山路入口の茶畑

集落が見えてきた

茶畑のおじさんに、「お疲れ様。池はどうだった?」って笑顔で聞かれる。
もちろん「スゲー良かった!」って答えたよ。

集落を歩いていると、いろんな人に声をかけられる。
編み笠を被った婆ちゃんには、「あなたを今朝早くに見かけてね、ちゃんと行けたの
か心配でね…。」とか言われて、畑の脇でヘラヘラ話し込んだ。

9:55 集落入口


bobByのところまで帰ってきました。
ふぅー、暑かった。エアコンを強めにかけて出発です。
もう臭い。体が汗臭い。自分の臭いで体調崩しそうだぜ。

国道152号を下る。途中で「天竜川」の支流である「水窪川」沿いに車を停めて川の
流れを見つつ今朝購入したパンを食べて朝ご飯にしたりする。
ぶっちゃけ夏バテで食欲無い。山の中でも食べる気起きなかったし。

国道152号を南下

相変わらず濁ってます

<秋葉ダム>
「天竜川」に設置されているダム。
息は急いでいたのでスルーしたけど、今は時間に余裕があるので傍らに車を停め
ました。

10:30 秋葉ダム

秋葉ダム&bobBy

堤高89mのダム。中央部分からザブザブ水が流れ出ています。
外にいると暑い。ダメだ。見学もそこそこに再出発します。


ただひたすらに東名高速を目指す。
なんか暑さと臭さで頭痛してきたぜ。頭が痛いとテンションも下がる。

より効率的なルートとなると、行きのときのように浜松ICを目指すのではなく、県道
40号と60号を使って2つ東の袋井ICに向かったほうが良さそうだな。
ダルいので早く帰りたい。
そしてシャワー浴びて服を着替えたい。

11:22 東名高速道路 袋井IC

袋井IC

11:48 日本坂PA

やっぱ眠いのでここで少し仮眠します。
たぶん窓を閉め切っていたら熱中症でヤバイことになるので、窓を開けて寝る。

12:27 起床

暑い!寝てられるか!水ッ!
ガブガブ水分補給し、栄養ドリンクを買ってドーピング。
うーむ、頭痛はさらに酷くなったような気がするよ。軽度の熱中症かな?
でももうちょっと頑張らねば。

今日も気温35℃超

14:01 横浜町田IC

すごく疲れているときしか使用しない、有料のショートカットルートを使います。
これを使うと普段の3倍近く早く帰れることもあるのだ。

14:22 帰宅

お疲れ!いや、ホント疲れた!
シャワー浴びて冷房の利いた部屋で昼寝するぞー!