16:00 離陸


プロペラ機は島を飛び立つ。
すぐ横の県道77号を走る軽トラが見え、宮之浦の町が見え、視界は徐々にフェードア
ウトして島の中心部の奥岳の山々となる。

ありがとう、屋久島。さよなら、屋久島。


機内から振り返ると、雲ひとつ無い快晴の空と海の中に島が1つ。
"洋上アルプス"と呼ばれる、円錐形をした世界遺産の島。
初めて丸ごと視界に納まった島を見て、改めて思う。




          ―   屋久島は、  「緑」   ―

YAMA&satoちゃん

tomoちゃん&YAMA

飛行機へ歩く

まずは忘れないうちにお土産を買っておこう。お土産はいつものように適当に2分で選
びました。
(土産 \2875)

そして一昨日「白谷雲水峡」でグチャグチャになった航空券を新しいものに引き換えて
もらう。これ、実は昨日の夕方に航空会社に電話して事情を話しておいたんだ。


あとは搭乗時間を待つだけ。
空港の建物の前でmikaちゃん作のオニギリ残り1個を食べていたら、tomoちゃんがド
ライブから戻ってきました。

今日tomoちゃんと一緒にドライブしていた"satoちゃん"にご挨拶。
埼玉県から1人旅で来ていたんだって。
なんか昨日「尾之間温泉」でmikaちゃんとも遭遇しているらしい。偶然ー!
あと、このときは気付かなかったけど、昨日僕も「もののけ姫の森」でsatoちゃんのすぐ
近くを歩いてた。僕の撮った写真にも赤いレインウェアを着た姿で写っていた。


空港の待合室で3人で屋久島の思い出話をしたり、写真を見せ合ったりして過ごす。
いろいろなことがあったなぁ。
でも、もう屋久島とはお別れなんだな。
あっという間に搭乗時間になり、僕らは飛行機へと歩き出す。
この4日間のことを振り返りながら、島の山々を振り返りながらゆっくりと歩く。

屋久島空港

幸い僕以外には誰もいなかったので、テキパキ過ごすことができました。
随分靴擦れしたし、ところどころから血が出てました。どこかで擦ったりしたっけ??

ダッシュでお風呂から上がると14:50。急いで空港に行こう!


レンタカー営業所の隣にあるガソリンスタンドで給油する。
(ガソリン \3639)

14:58 レンタカー営業所

約束の時刻の2分前です。うん、ピッタリだ。
空港はすぐ道路の向かいだけど、荷物もあるので営業車で空港の玄関ピタリまで運
んでもらいました。


15:02 屋久島空港

楠川温泉

屋久島空港の前を通り過ぎる。あと数kmで温泉です。
あんまりノンビリしている時間は無いけれど、とりあえず汗だけは流さなければ。
でないと帰りの機内が異臭騒ぎになってしまう。



<楠川温泉>

宮之浦の町の1つ手前の集落、楠川にあるとっても小さい温泉です。
ここは前回に「縄文杉」を登った後に立ち寄ったところだね。

14:22 楠川温泉

ここまで「千尋の滝」の駐車場から40分近く掛かりました。
そしてレンタカー返却まではあと40分。急いでお風呂に入ろう!
(入浴 \300)

宮之浦方面へドライブ

行きにも水をゲットした沢で再び水を汲む。もうペットボトルの水は尽きかけていたん
だ。危ない危ない。
予想以上の発汗と熱さで水の消費も激しかったよ。
ここで汲んだ水は家に帰るまで持たせるよ。

「万代杉」の前を通過し、急坂を駆け下りる。
結構つま先とヒザに負担がかかるね。靴ずれが始まりました。
このあと1ヶ月は足に影響が出そうだけど、今日は最終日だからまぁいいや。

13:40 登山口


「千尋の滝」の駐車場に帰ってきました。汗グッチョリ。
往復での所要時間は4時間40分でした。思ったより時間掛かったな…。

ミラに乗り込み、発進します。
この後の予定は、15:00にミラを返却、16:00に「屋久島空港」から離陸します。
残された自由時間はあと1時間20分。

とりあえず汗をかいているのでお風呂に入り、着替えをしたんだ。
どこか安くていい温泉はないかな。
一昨日は「尾之間温泉」に行ったから、出来れば違うところに行きたい。
よし、「楠川温泉」だ。
ギリギリで間に合うはず!

県道77号に乗り、反時計回りに島の外周を走ります。

モッチョム太郎さん?

尾根沿いの道が終わり、鬱蒼とした森林の中の急な下り坂になります。
一度、木々に巻きつけているテープを見失い、登山路じゃないところに行っちゃったり
しました。なんだか普通の山道に見えたので下ったんだけど、途中で行き止まりにな
ったので気付いたんだ。
50mほど着た坂をよじ登って正規のコースを発見。
いやー、こういうのって怖いね。変な汗かいた。

登山路を下っていると、左の奥手に大きな杉の木が見えました。
木々に隠れてよく見えなかったけど、あれが行きに見落とした「モッチョム太郎」かな
?たぶん位置的にそうだと思う。

山頂を振り返る

洋上アルプス
に薫風が吹く

生命と水の縮
図に身を委ね

雨の日にしか
見えないもの

太古の昔に
想いを馳せて

プロローグ   Chapter.1  Chapter.2  Chapter.3  Chapter.4  エピローグ       









Chapter.4 洋上アルプスに薫風が吹く

5.29
<「晴耕雨読」>

6:30 起床

晴れてるー!見事に晴れ渡っているよ。
これは素晴らしい1日になりそうな予感です。

洋上アルプス
に薫風が吹く

生命と水の縮
図に身を委ね

雨の日にしか
見えないもの

太古の昔に
想いを馳せて

プロローグ   Chapter.1  Chapter.2  Chapter.3  Chapter.4  エピローグ       

晴耕雨読からの青空

tomoちゃん・mikaちゃんと一緒に朝ご飯を食べた。朝ご飯は昨日Aコープであらかじ
め買っておいたカップラーメンです。すげー安かったんだ。
「飲んだあとはやっぱりラーメンだね」とか言いながらズルズルすすった。

食後はゆっくりコーヒーを飲みながら雑記長に記録を残しておく。
いつかまたここに帰ってくることがあったら、自分で自分の記録を見てみるよ。
mikaちゃんが昨日の残ったご飯でオニギリを2つ作ってくれた。
おー!これで今日の昼ご飯はカンペキだ。ありがとう。

朝食の風景

これで僕とtomoちゃんはチェックアウト。名残惜しいけどこの宿ともお別れです。
残った食材とかは全部mikaちゃんに引き継ぎます。今日も楽しい旅人がやってくると
いいね。

サブローさんに電話してきてもらい、チェックアウトの手続きをする。
(宿泊費3日分 \10500)

荷物をまとめ、晴耕雨読の前でサブローさんを含めて4人で記念撮影をしました。

ありがとう晴耕雨読

tomoちゃん・mikaちゃん・サブローさん・YAMA

今日はすっごい晴れている。よーし、「モッチョム岳」に登ろうか。
サブローさんに「モッチョムは結構険しい山だから時間かかって大変だよ。」と忠告さ
れたけど、一応わかってます。頑張って登ります。

tomoちゃんは、晴耕雨読の前に泊まった宿で知り合った旅人とこのあと安房で合流
してから島一周ドライブをするんだって。その友達も僕と同じ便で屋久島を出るらしい
です。
mikaちゃんは昨日鹿児島に足止めを食らっていた友達2人と合流して、「白谷雲水峡
」を歩くそうだ。

ではでは、僕はこれからハードな登山なので早速出発します。
mikaちゃん、ありがとう。またどこかで。ガッチリ握手。
tomoちゃん、次は空港で会おう。
サブローさんにお礼を言い、ミラに乗り込んで見送られながら晴耕雨読を出発。

8:01 チェックアウト


島一周道路の県道77号を時計回りに走ります。

手を振るドラえもんともお別れ

県道77号

途中、トイレ休憩のために安房にある無料駐車場に入りました。
初日にレンタカーを借りた直後にも駐車した場所。
改めて辺りを見回すと天気がいい。

安房の無料駐車場にて

安房からさらに10kmほど進み、やがて出てくる「千尋の滝」の標識に沿って島の内
陸部に入ります。
ここいらは初日に辿ったルートと同じです。


<千尋(せんぴろ)の滝>
8:50 千尋の滝

ここにミラを停めて登山します。あー…、今日ここに来るんだったら初日に千尋の滝
を見に来る必要もなかったかな?
まぁいいか。あのときは今日ここに来ることは決まっていなかったし。

千尋の滝、3日前に見たばかりなので今日また見る必要もないのだけど、100mも歩
けば見えるところにあるのに見ないのももったいないな、と思い拝んでいきます。
あえて登山前に見ます。
登山後は100mとはいえ、ここまで歩く気力がないかもしれないので。

千尋の滝、再び

滝から少し戻り、初日に確認しておいたモッチョム岳の登山口の前に立つ。
入口にルートと所要時間が書いてあったので、デジカメで撮っておく。僕は山岳マッ
プとか持っていないので。


<モッチョム岳>

最初の「万代杉」、目安はスタートから1時間と書いてあったから、僕の足だったら30
分ちょいかなーとか思っていた。
僕は運動を何もやっていなし根拠もないんだけど、今までの経験からそのくらいだと
思っていた。しかし全然着かない。これは困った。

既にTシャツは絞れるんじゃないかってくらい汗で濡れています。
ヤバイな、水は足りるかな?呼吸も苦しい。病み上がりなので咳がブリ返してきた。

なんとか根性で階段を登っていると、進行方向上部の階段の切れ目から白い杉の木
が覗いています。
あれが「万代杉」かー!すぐにわかった。力を振り絞る。


<万代杉>
9:45 万代杉

ロープで登る

とにかくひたすら登り。しばしば手も使わないといけないほどの傾斜。

あたりは鬱蒼とした緑に囲まれ、全く眺望は開けません。
自分がどこにいるのかわからない。視覚的にもそうだし、ルート的にも最初の目印が
「万代杉」なのでそこまでは自分の現在地は知るすべがない。
「万代杉 ○m」とか書いてあればまだ目安が立てられるのにね。

この気温、そして人が全くいない急な登り斜面と現在地の把握不可。
これらの要因は結構精神的にもキます。
ところどころでゼーゼーハーハー呼吸を整えなければ足が進まない。

ロープを使って登る場所が何箇所か出てきたりもします。

モッチョム岳は標高1000mにも満たない山。しかしすさまじく急峻な山。
息もつけないほどの休みのない上りが特徴です。
コースタイムは往復で5時間半くらいらしい。

なぜだか知らないけど「YAMAに向いている山だよ」って何人かから言われたことが
あるんだ。だから試しに登ってみたくて。

9:00 登山スタート


最初は茂みの奥から「千尋の滝」の音が聞こえる快適な山岳路。
…と思ったら一瞬後には急な登りがスタートしました。
うおぉぉぉ!登れ登れ!でも汗が吹き出る!喉が渇く!水飲むぞ!

目指すモッチョム岳

急な登り

万代杉

この杉は樹齢3000年ほどらしい。樹高13.2m・周囲8.6m。
根元まで行って触れることも出来るような立地のためか、データよりも大きく見えます。

今まで見てきた屋久杉はほとんどが森の中に飲み込まれていたけど、万代杉はちょ
っと開けたところで日光に当たりながら生えている。
寄生植物が少ないのもそのせいなんだろうか。

万代杉&YAMA

なかなかいい場所だったので、15分ほども長居して杉を観察していました。
さて、汗も引いてきたので出発するか。


この後は激しい登りがあったりゆるい登りがあったり。相変わらずシンドいことに変わ
りはありません。
ほどなくして苔むした森の中に沢があるのを発見。
水をガブガブ飲んだり顔を洗ったりし、ペットボトルにも水を補給。
生き返ります。

よじ登る

空が見えてきた

相変わらず人のいない道をガシガシ登っていきます。
ん…?

ふと不安になってデジカメを取り出し、登山口で撮ったルートマップを調べる。
「モッチョム太郎」という杉を経由していないのだが?
順調に行けば「万代杉」から200mほど、高さにして20mほどのところにあるはずなん
だけど、全然そんな杉はなかったです。

おいおい、ルート間違っていないだろうな。
確かにずっと木々に巻きつけていあるテープを辿っては来たけれど、わかりやすい
道とはいいがたい。
「モッチョム岳 →」とかの看板も全然無いし、他の人も1人もいない。

ちょっと不安になるんだけどしょうがない。このまま登ります。
きっと合っているよ。自分にそう言い聞かせる。

ようやく頭上の木々が薄くなり、青空が見えてきました。
ちょっと達成感はあるけれど、強烈な紫外線でさらに疲れそう。

花崗岩が露出した山肌

枯れ木と青空

ここいらまで来ると、左右が共に切り立った崖になっているナイフエッジです。
万が一足を踏み外せば転がり落ちてサヨナラです。

向こうの山肌には丸い花崗岩がゴロゴロロ露出しているのが見えました。
「宮之浦岳」とか、あんな感じだったよな。


<神山展望台>
急に景色が開けました。今までどこをどう歩いているのか全然わからなかったけど、
初めて海や眼下の尾之間の集落が見えました。
週へ二看板も無いし何も目印はないけど、ここが神山展望台だよね!?

10:53 神山展望台

神山展望台のパノラマ

海が青いねー!風が気持ちいいねー!
風に乗って夏特有の草木の匂いが運ばれてきます。
なんか全てが夏色なのだ。

進行方向に目をやると、谷を挟んだ向こう側にモッチョム岳の尖塔が見えています。
まだまだ距離はありそう。頑張ろう。

「千尋の滝」の横の一枚岩みたいな斜めにズルズルになった山肌もチラリと見えたり
します。あの岩は「千尋の滝」と繋がっているのかな?よくわからんや。

ここが山頂かな?
巨大な丸い花崗岩が乗っかっている岩の上に到着しました。
結構足場が狭い。踏み外したら数100m落下するんじゃないかな、これ。

あれがモッチョム岳山頂

尾之間の集落

ここからは全体的なアップダウンはそんなに激しくはないんだけど、要所要所で物凄
い段差があったり。近くの木の枝をつかんで一気に登ります。
ロープポイントもある。相当な傾斜です。
こういうのって登りはいいけど、帰りに下るときにメッチャ怖いですよね。

かなり急です

足元に広がる絶景

足場の岩に沿ってグルリと歩くと、あ、横の巨大な岩にロープが設置されていました。
まだ登るんだ。なんか傾斜が70〜80°くらいありますけど?
しかしこれが最後の登りだ。

最後のロープ

11:15 モッチョム岳 山頂

着いたーー!標高940m、モッチョム岳の山頂です!
ここまでの所要時間は2時間15分。「万代杉」で遊んでいた時間を除くと、歩行時間は
2時間ってところでした。
しかしかなりキツかった。ゆっくり歩く人は登りだけで4時間くらいはみておくといいかと
思います。

山頂からの眺め

先ほどからチラチラ見えている尾之間の集落だけど、山頂からではより一層綺麗に
見えます。遮る物がない分、左右の見通しも最高です。

でもここは縦横数mほどの岩の上。ちょっと怖いぜ。
ここでmikaちゃんからもらったオニギリを食べました。あー、うまい。

山頂のプレート

YAMA

オニギリを食べる

静かな山頂に1人たたずんでいると、かすかに尾之間の集落の音が聞こえてくるんで
すよね。犬の鳴き声だったり、スピーカーでの放送の音だったり。
そのくらいの距離なのに、ここまで来るのは相当な努力が必要です。
ホント、「鳥だったら一瞬であそこまで帰れるのになー」って思ったりした。

標高1000mから見下ろす集落。
現時点で日本で一番高い建造物である「東京タワー」の3倍近い高さです。
飛行機以外でこの高さから町並みを見下ろせるところって、日本にはあんまりないん
じゃないかな?

ひとしきりリフレッシュしたら、また来た道を帰ります。


サクサク降りたいんだけど、ロープであったり両手両足を使わないと降りれないような
急な段差であったりと、思うようにペースが伸びません。