Chapter.1    Chapter.2    Chapter.3    Chapter.4    Chapter.5    エピローグ
「桃岩荘」    「うめーべや」   「愛とロマン」  「愛とロマン」    「島抜け」  
                       (前編)      (後編)








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                       (前編)      (後編)

Chapter.5 「島抜け」 

7.21
4:20 起床

8時間コース参加者の恒例イベントで、翌朝みんなで元地という集落にある「佐藤
売店」にウニ丼を食べに行くというイベントがあります。
桃岩荘の食事は簡素なので、せっかく礼文島に来ても外食しない限りは礼文名物
のウニを食べることが出来ない。
だから島を離れる前にウニを食べようっていうのがこのイベントの趣旨なのです。
今日はそのために早起きしました。

なんでこんなに早起きするかというと、大体のパターンだと宿泊客は8時間コースを
歩いた翌朝の0便で島抜けする。
そうなると食べるタイミングがこの早朝の時間帯しかないのです。

まだ暗い中、着替えて準備。
今日8時間コースを歩くぶるるぶに最後に声をかけて行きたかったけど、食堂にい
なかった。
まだ寝てんのか?まぁいいや。今週末に会う予定だし。

4:50 桃岩荘前集合

早朝の猫岩

桃組はアホ組よりも30分早く集合し、既に出発したんだそうだ。
チクショウ、負けたか。
てゆーか、6:30に桃岩荘で連泊なり島抜けなりの手続きをするんだけど、それに間
に合うかな?僕が設定した時間だから間に合うように調整しないと…。

元地までは徒歩30分ほど。
普段だったら絶対にこんな距離は歩かないけど、昨日11時間歩いたことを考えると
30分くらいなんの抵抗もありません。
早朝でかなり寒いけど、歩いていると暖かくなってくる。


<「佐藤売店」>
5:24 「佐藤売店」

佐藤売店

YAMA&トドの剥製

このお店は漁師さんがやっていて、5:00から開店している。
そして取れたてのウニを使ったウニ丼を1000円〜で食べることができるのだ。
トドの串焼きもメニューにあって、そのためか店頭にはトドの剥製が置いてあった
りします。

ちょうど入れ違いで桃組が店を出て、店内はアホ組だけになりました。
みんなでワイワイ注文。
僕は一番小さい1000円のウニ丼。朝だからこのくらいで充分だ。

1000円のウニ丼

ウニ丼を食べるアホ組

食べながら「これからどうするの?」みたいな話をみんながする。
昨日はみんなで力を合わせて完歩したけど、今日はもうバラバラになるんだもん
なぁ…。
桃岩荘に連泊する人、旅を続ける人、家路につく人など様々だ。

僕は0便で稚内に渡る。
アホ組の中でも0便に乗る人が大半で、連泊はぼーさんとnonaだけみたい。
チャリダーTさんとサブリーダ"が0便以外の便で島抜けするみたいだ。
ということは0便に乗るのは僕・ニュートン・リーダー・ゆき姉・まっつんの5人だね。

食後に全員でPCのメアド交換をしあった。
またいつか再会して、「愛とロマンの8時間コース」の思い出話をできるといいね。
僕、旅のときはだいたいペン数本と紙を持っているので助かった。
「●●の紙に▲▲の名前が書いてない!」だとか「「もう時間無いから島に残る人を
優先的に!」だとか混乱気味だったけど、なんとか無事にミッション終了。

ワイワイやっているうちに6:00になってしまったので、店を出て桃岩荘に帰ります。

帰り道、元地の海ではウニ漁をしている小舟がたくさんいました。

ウニ漁を見る

エゾバフンウニの漁って、乱獲を防ぐために漁が許可された日の朝6:00から1時間
くらいしか許されていないんだそうだ。

手漕ぎボートくらいの小船に乗って、舟から大きく身を乗り出している。
箱メガネを口にくわえて水中を覗き、手に持ったモリで海底のウニを突く。
さらにはこれらの動作をしながら片足で舟を操縦するそうだ。
すっごいテクニシャン!


6:25 桃岩荘

なんとか6:30の手続き締め切りに間に合い、島抜けの手続き。
8時間コースの完歩証明書をもらった。ワーイ!
そして40秒で最後の支度をして、ブルサンに預ける荷物を提出。

回転ベッドにいると、下の囲炉裏の間でラジオ体操が始まった。
あ、僕も参加するー!

ラジオ体操

島抜けのお見送りの開始まではあと30分弱。
ちょっと自由時間が出来ました。
最後の時間を桃岩荘前で1人まったりと海を見ながら過ごしたいと思います。

桃岩荘

8時間完歩証明書&猫岩

ちょっと風が強いけど、礼文島は今日もいい天気になりそうだ。
北のほうから雲が晴れてきた。きっと島抜けには最高の日和だろうな。

桃岩&見返り坂

7:00、島抜けの人のお見送り開始。桃岩荘から続々と人が出てきました。
今日は連休の最終日なので、島抜けする人が非常に多い。
たぶん全体の半分以上が0便で一気に出て行くんだろうな。

島を抜ける人が、ヘルパーや連泊者などの残る人と桃岩荘の前で向き合う。
ふと見ると、猫岩がオーラを放つような感じの放射状の雲に覆われている。
なんだアレはー!なんか縁起がいいぞー!

猫岩のオーラ

島抜けする人々

「皆さんは、これでこのニシン番屋ともしばらくお別れです!」
ヘルパーからの挨拶が始まる。
いやー、楽しかったぜ!ありがとう、桃岩荘。またいつかここに来れるといいね。
「それでは皆さん、せーの… …!!」でみんなでいっせいに声を出す。

「いってらっしゃーーーーい!!」
「いってきまーーーーす!!」

ギターの演奏と歌が始まる。
見送り坂でのテーマ曲は1981年の"今年の唄"、「幻恋歌(メッセージ)」。
見送る方も見送られる方も歌い手拍子しながらも、ゆっくりと見返り坂を登りだす。

さよなら、桃岩荘

♪  優しさ色の恋 拾い集めて  帰り来ぬ人に 送りましょう
     野道に香る さくら草  愛に微笑む 風の中
        そっと見つめて 巡り逢う  追っても追っても 届かぬ幻 ――――


見返り坂を登るにつれ、だんだんと歌声は小さくなる。
しかしお互い声を出し、手を振って存在を確認しあう。
「幻恋歌(メッセージ)」の次は、「寒い国から来た手紙」が風に乗って聞こえていた。

遠くなる桃岩荘

最後に振り返る

「桃台猫台」のところで見返り坂は終了します。
ここが桃岩荘の見える最後のポイント。
もうお見送りのみんなの姿は米粒くらいにしか見えないけど、かすかに955の振る旗
と声が聞こえてきます。もう一度双方で呼び掛けをする。

「いってらっしゃーーーい!!」
「いってきまーーーーす!!」

「また来いよーーー!!」
「また来るよーーー!!」

見返り坂の頂上から

左の写真の一部を拡大

「桃台猫台」を過ぎるともう桃岩荘やみんなの姿は見えないけど、しばらくは呼び掛
けの声が背後から聞こえていました。
このあと桃岩荘のみんなは掃除大会をし、それから僕らの荷物を乗せたブルサン
で香深港まで追走してくれます。

僕らはゆっくりと坂を登り、「桃岩タイムトンネル」方面へと歩く。
昨日あんなに歩いたにも関わらず、まったく筋肉痛になっていない。
こりゃあラッキーだな。

礼文島西海岸も最後

大自然の広がるこの礼文島西海岸もこれで見納めです。
何度も振り返りながら歩く。

「桃岩タイムトンネル」を通過し、ショートカットの山道を抜けて香深の街中に入る。
港の直前で後ろから来たブルサンに追い抜かれました。

7:50頃 香深港

桃岩荘からゆっくり歩いて50分ほどかかりました。
お土産を買うとしたら、今ここで速攻買うしかありません。桃岩荘では港に着いた人
はすぐに収容されるので、帰り際に一瞬のスキをついて買うしかない。
お土産はいつものように適当に2分で選んだ。

そしてブルサンのところに行き、荷物を受け取る。

「また逢えるように」

ヘルパーたちと共に2007年の"今年の唄"、「また逢えるように」を歌う。
あ、この歌、去年の京都大会で歌ったヤツだね。僕も歌えます。
ホントにまたいつかどこかで会えるといいね。


8:20頃、稚内からのフェリーが香深港に入港する。
「おっかえりなさーーーーい!!」
「おーーーーーい!もっもいっわそーーーー!!」
いつものようにヘルパーたちが叫び、乗ってきた人を案内している。
港の人たちがビックリしている。

そろそろ僕らも乗船待ちの列に並びます。
ヘルパーたち・そしてまだ島に残るサブリーダー・nona・チャリダーTさんたちも
列の移動にあわせて一緒についてきてくれるけど、タラップのところでお別れ。
「行って来ます!」
「ありがとう!」
ガッチリと握手をし、タラップを駆け上がる。

フェリーに乗り込んだらみんなで荷物を固めて置き、すぐにデッキの後部の桃岩
荘お見送りの位置に移動します。

「いってらっしゃーーーい!!」
こっちも「いってきまーーーーす!!」
そして始まる桃岩荘のフルコースの踊り。毎日ミーティングで踊ってたヤツをみん
なで踊ります。

踊ってお見送り

こっち側ももちろんフェリーのデッキの上で歌い、踊る。
ちょっとスペース少ないし、他のお客さんがビックリしてこっちを見たり写真を撮っ
たりしているけど、もう関係ないですよね。

そして、いつもミーティングの最後に歌っていた歌、「遠い世界に」を歌う。

  ♪  遠い 世界に 旅に 出ようか ーーー

歌ってお別れ

歌い終わるのとほぼ同時にフェリーがゆっくりと出航する。

8:45 出航

波とフェリーのエンジン音にかき消されないよう、精一杯叫んで、礼文島とお別れ
です。
「いってらっしゃーーーい!!」
「いってきまーーーーす!!」

「また来いよーーー!!」
「また来るよーーー!!」

いってらっしゃーーーい!!
「いってきまーーーーす!!」

…た … いよーーー … !
「また来るよーーー!!」

どんどん港が遠ざかる。お見送りの声が聞こえなくなってくる。手を振るみんなの
姿もほとんど見えなくなる。
でも、港が見える限りは声を張り上げ、何度も声掛けを繰り返します。


さよなら、日本最北の島。
フェリー離岸
叫び続けながら