上高地⇒槍ヶ岳

2007.10.6-7
走行距離:525km
実行人数:1名

4年以上憧れていた天空に突き刺す槍の穂先
上高地から1泊2日で登ってきました!

「遥かなる天空への祈り」









10月6日 @
上高地〜グリーンバンド

「YAMA、あれを見てみろ。あの尖っている山が"槍ヶ岳"だぞ。」

− 確か初めて槍ヶ岳を見たのは10年以上前、穂高連峰を歩いているときだった。
鋭く突き出した槍は遥か彼方なのに、激しく僕の心を揺さぶった。

4年前の2003年には仲間と共に登ろうかと計画したが、悪天候のために中止した。
「いつか…」「いつか間近で槍を見たい」
こう思いながらも時間は過ぎていっていた。


そして2007年秋。
なんとか取得できた大事な2連休。どこに行こうか考える。
時期的には紅葉か。夏に行きたかった上高地にでも行ってみようか。
しかし、まだかなり深部まで行かないと紅葉がないかもしれない。

そうしたらいっそのこと、上高地から槍ヶ岳が見えるところまで歩こうか。
その日のうちに上高地に戻れなかったら適当に山の中で一泊すればいいか。

実はこういうことを考えていたのが既に出発当日のことなんですけど、槍ヶ岳の
見えるポイントまで行くイメージがなんとか固まりました。
あとはテンションでカバーしよう。


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10.5
仕事からの帰宅後に風呂に入り、速攻で荷造り。
ぶっちゃけ風呂に入った時点で、このまま寝てしまいたい衝動にかれるんで
すけど、ここは気合です。

ヘタすりゃ本格登山なので大きめのリュックや丈夫な靴が必要なんですけど
、大きいリュックなんてないからいつも職場に持って行ってる小さいうヤツで
いいや。靴もいつも履いているボロ靴で行こう。
なんとかなるさ、屋久島も礼文島もこれで歩いたんだから。


22:27 横浜出発


10.6
0:38 中央高速 相模湖IC

世間は3連休なので若干車が多いように思われるが深夜なので快適に走る
ことができます。スイスイ北上。

1:28 双葉SA

…休憩を取ったらまた睡魔が到来。
ここで仮眠を取りたいんだけど、このくらいの睡魔なら今までのドライブのノウ
ハウで対応可能です。頑張って上高地までは運転しよう。

10月6日 A
槍ヶ岳と肩の小屋

10月7日
御来光・槍ヶ岳下山

2:45 松本IC

ここから上高地まではおよそ40km。国道158号をひたすら西へと向かうだけ
です。この時点で気温10℃だってさ。寒い寒い。

2:50 松本市内のコンビニ

ここで食料(オニギリ・チョコ)と水を購入しました。

上高地への国号158号はシーズン中は大渋滞するようで、この3連休も日中
であれば地獄と化すんでしょうけど、この時間は大丈夫。
終盤はそこそこ車が連なりましたが、問題なかった。


3:30 沢渡駐車場

上高地は通年マイカー規制のために車で入ることは出来ません。
今回はこの沢渡駐車場に愛車の「サー君」を停めておくことにします。
1日500円だって。

既にいくつかの駐車場は「満車」の表示だったけど、「沢渡中」の大駐車場が
まだまだ空きがあったので安心。
ここで始発のバスを待つまでの間、車内で仮眠を取ります。


5:10 起床

うわぁ、寒いぜ。きっと気温は5℃を切るくらいだ。
震えながら準備をし、バス停に向かいます。
もう周りの駐車場はほとんど埋まっていました。

深夜の運転

サー君、留守番頼むよ

バスはここから上高地への往復で1800円。
この料金が今まで上高地に来れなかった理由です。個人的には大奮発。

バス停にて

『10月6日〜8日の三連休は年間で一番の混雑が予想されます
お帰りのバスですが、14時〜16時は1時間以上の待ち時間が発生する可能性が
あります』
…って書いてありました。うわぁ、ピークの時間帯は避けたいです…。

5:37 バス発車

バスを待つ人は非常に多いけど、バスはひっきりなしに来るのでほとんど待つこと
はなかったです。しかも全員座れるし。

さすがにこの時間は僕以外全員本格登山装備の人。
みんな40〜70リッターのリュックを持っていて、僕だけ10リッターくらいのヘボリュック。
場違いでドキドキしちゃいます。

上高地までは30分ほど。寝ようとしたけどワクワクして寝れませんでした。
左手に噴煙を上げる焼岳が聳えていました。


6:18 上高地バスターミナル

来た!聖域!
朝の清々しい空気をいっぱいに吸い込みました。
よーし!歩くか!

上高地バスターミナル

では、槍ヶ岳まで歩いた場合のコースを紹介します。

片道およそ20km、高低差1700mのハードコースです。
標準タイムは10時間。
後半、大幅にペースダウンすることが手に取るようにわかるコースです。

どうやら槍の穂先が眼前に見えるのは、17km地点くらいらしい。
思ったよりずっと深部に行かなくてはいけません。やるだけやってみましょう。

今日はたぶん晴れ

<河童橋>
バスターミタルから5分ほど梓川に沿って歩くと、上高地のシンボルである河童橋
が見えてきます。
まだ日が昇りきっていないので見栄えはそこまで良くはないけど、足を止めて写真
に収めておこう。

6:25 河童橋

河童橋の袂で

ほとんど高低差の無い快適な道を、多くの登山者と一緒に歩きます。
なんかサルがいっぱいいました。子ザルもいました。

サルが出現

何10匹も出てきて、ギャーギャー言いながら大喧嘩が始まったりしてました。
おうおう、早朝から元気がいいね、テンション高めだね。負けてらんない。

6:50 明神

3km程歩きました。少し体が温まってきました。
ここからは穂高連峰が頭を覗かせています。

明神の風景

ここから0.6km反れたところに「明神池」があります。
行ってみたいのだけど、槍ヶ岳を見に行く貴重な時間と体力を使ってしまう。
ここは素通りしよう。
時間があったら復路で見ればいいし、いずれ上高地だけを散策するときに取って
おいてもいいと思うんだ。

次のポイントは3.4km先の「徳沢」です。
まだまだ平坦な道が続きます。左右は樹林地帯。
ときどき左手に穂高連峰が顔を覗かせています。すげー雄大でビビります。

池の中で立ち枯れる木々

7:20 徳沢

キャンプ場に設置されている色とりどりのテントがステキです。
山の合間から日が昇ってきました。
ここでも休憩せずに通過しようと思います。

徳沢で朝日昇る

次の「横尾」を目指し、梓川に沿って歩きます。

途中で景観が開け、朝日に照らされる穂高連峰が一望できました。
あの一番高い部分が確か日本で3番目に高い3190mの奥穂高だよね?

穂高連峰を間近に見る

8:10 横尾

上高地からここまで11km。標識によれば槍ヶ岳までさらにここから11km。
距離的には中間地点です。
標準タイムで3時間10分のところを1時間50分で来ているので、そこそこ順調
なのかな?
しかしここはまだオードブルだってことはわかってます。
まだまだ地獄の登りが始まってもいませんから。

少々お腹が空いたので、これからの登りに備えてオニギリを1つ食べておきました。

横尾で小休憩

ここからは一般観光客はあまり来ないほど深部になります。
道も徐々に山道っぽくなってきました。

なんか雲が多くなってきたのが気になります。
上高地方面を振り返ると青空が見えているのに、前方は厚い雲。
ちとガッカリです。
でも、きっと晴れるさ。僕は晴れ男なので。
今のうちはまだ曇ってもらったほうが歩きやすくていい感じ。
槍ヶ岳と向き合うときに青空が広がっていることを願いながら歩き続けます。

樹林帯を進む

青空を振り返りながら傾斜の出てきた山道を歩いていると、ずっと横に見えていた
穂高連峰が遠くに見えなくなってきた。
何気に随分歩いてきたらしいです。梓川も細くなり、ところどころ滝のように流れ落ちる
部分もあります。

景観が変わってきた

8:53 一ノ俣

標準タイムで4時間10分のポイントに到着しました。
僕は軽装なので、写真を撮りながらも2時間30分で到達しました。

まだまだ体力的には余裕です。アップダウンが無いので足も調子がいいです。

一ノ俣の標識前

9:01 二ノ俣

ここを過ぎると結構道が急になってきました。
軽く息切れがします。背中に汗もかいてきたっぽい。

9:21 槍沢ロッジ

ここで休憩。30人ばかりの登山者が小屋の前のベンチで自炊をしていました。
僕もオニギリを1つ食べておきます。

槍沢ロッジのメニュー

小屋のメニューを見てみると、カップラーメンが400円ですか。
なかなか山価格になってきてますね。

槍沢ロッジは、もしバテバテだったら宿泊しようかと考えていたポイント。
でもまだ元気だし、午前9時半だし、槍ヶ岳も見えません。
もっと奥に行ってみよう。
てゆーかこのペース、槍ヶ岳山頂まで行けるんじゃない??
行っちゃってもいいんじゃない?…凍死しなければ。


出発しようとすると、小屋の前に天体望遠鏡がありました。

『ここから槍の穂先がみえるよ♪』だってさ。
どれどれ…。望遠鏡を覗いてみました。
小屋の前の望遠鏡
…!!

行くーーーー!!
僕、槍ヶ岳の山頂まで行くよ!!初めて見えた槍の穂先、闘志がみなぎってきたよ!
槍沢ロッジさん、粋なはからいをしてくれたぜ!元気いっぱいだ!
でもすっげぇ尖ってるんだね、あんなところに人が立てるんだね。

初めて肉眼で見えた
槍の穂先

上の写真はかなりズームして撮ってます。実際はもっとずっと遠くに見えます。
でも、モチベーションはバリバリアップ!よし、進むぞ!

山道の傾斜はかなり急になってきました。
岩場とか段差も多くなり、かなり息切れがします。
なんだか周りの景色が秋色になってきました。
そういや僕は本来上高地に紅葉を見に来たんだっけ?ようやく木々が色づいてきた
ような気がします。
…もうここまでくれば紅葉とか二の次ですけど。今の目的は「槍」です。

秋の気配

9:50 ババ平キャンプ場

なんだか急に目の前に景色が開けました。森林限界が近いっぽいです。
この時間でもここは結構テントが立ってました。
ここで水場があったので、ペットボトルに補充しておきました。

曇り空のババ平

出発するとすぐに槍沢カールが目の前全てに広がります。
氷河が削り取って出来たこのなだらかなカーブを描く地形、例えるとスプーンでアイスを
すくい取った場所にいるような感じです。

前方を取り囲む3000m級の山々
写真では写しきれませんが、山肌を細い滝が流れ落ちていたりもしています。
ついつい足を止めて見入ってしまいます。

…これで青空が広がっていれば申し分ないんですけどね…。
まぁいいや。そのうち晴れることを期待しましょう。
いい景色だなぁ…

そしていよいよ始まりました、地獄の上り坂が。
超急勾配にカールに合わせて延々と九十九折が続きます。
歩いても歩いても視界が全然変わりません。キツイ。

しかも標高2000mの山道。酸素が薄くなってきました。
息苦しいし、寝不足と軽い高山病で頭痛もしてきました。ヤバイヤバイ。

紅葉に辿り着く

随分と木々が色づいてきました。
写真では色をうまく表現できなかったけど、なんとか紅葉と言ってもよさそうです。
でも森林限界をほぼ突破しているので、低木しかありませんけどね。

ギリギリ紅葉

気付かないうちに「大曲」を通過していました。
もうなんだか余裕がなくなってきたので、まっすぐに前だけを見据えて登り続けます。
槍が見えません。
槍沢ロッジで一瞬見えて以来、一度も見ていません。

どこだよ?出て来いよ目的地。もったいぶるなよ。
先が見えないと不安になります。

確かWebとかの登山レポートを読むと、槍の穂先が見えてからの激坂にみんな非常に
時間を費やし、なかなか近付かない穂先に悲鳴を上げていますからね。
僕に至ってはまだそこにすら辿り着いていないではないか。


ちょっと体に危機感。ハンガーノック状態が近付いてきてます。
カロリーを補充しないと。
普段絶対に買わないチョコをコンビニで買っておいて助かった。こういうときに糖分は
心身ともに元気付けてくれます。
ただでさえ酸欠状態なのにむさぼり食ったから、喉に詰まって死にそうになりました。

晴れてきた?

ここでふいに空が明るくなり始めました。
どんよりとしていた厚い雲がウソのように引いていきます。
これは晴れるな!ついに晴れるぞ!

雲の流れからして、槍の穂先は既に青空の中にあるはずだ。
こりゃ期待できそうです。
山々も日の光を浴びてさっきよりも断然綺麗に輝き出しました。
もう嬉しくって叫びたい。

一気に広がる青空

もう気分はルンルンです。
…でも体は正直でした…。
足が進まない。もう呼吸はゼーゼー言っていて、心臓は信じられないくらい速く脈打って
います。頭もなんだかボンヤリする。

エネルギーを生み出すために残りのチョコを全部食べました。
士気を高めるために、近くを歩いているスパッツ姿のベテランそうな人にペースを合わせ、
目標物としました。
スパッツさんも汗だくでゼーハー言って頻繁に座り込んでますけど、ペースは同じくらいっ
ぽいです。

がむしゃら

槍の穂先はまだかな?
山の天気は変わりやすい。今の天気のまま、槍の穂先を拝みたい。
頼むから雲は出ないでほしい。

すっごく暑いけど。このままじゃあ日焼けするだろうけど。
スパッツさんとは抜きつ抜かれつのデッドヒート。

スパッツさんも今朝上高地から登ってきているらしい。
「天気最高ですね。初めて槍に来ましたけど、超興奮しちゃってますよ。」
「てゆーかキミ、初めてにしては相当早いね。」
こんな会話を交わしつつ、着かず離れず登ります。

3つ目のオニギリを途中で食べました。これで残りはオニギリ1個。
ま、なんとかなるか。

元気の源

そして、九十九折に登っていた道が大きく左に入る。
今まで見えなかった景色が見えてくる。


…長年夢見た槍の穂先が思いのほか近くに、圧倒的迫力で飛び込んできた。

10月7日
御来光・槍ヶ岳下山

10月6日 A
槍ヶ岳と肩の小屋

10月6日 @
上高地〜グリーンバンド