礼文島旅行2007

2007.7.12-15
走行距離:-km
実行人数:1名

島旅の第2回は"花の浮島"礼文島!
昼は島を歩き、そして夜は桃岩荘で歌う

吸い込まれるような青

Chapter.1 「桃岩タイムトンネル」

※今回のエピソードには愛車の「サー君」は登場しません。


屋久島を歩いてからおよそ50日。(3-20参照)
島の魅力を知った僕は次の島旅に出かけることにしました。

前回が南の屋久島だったので、今回は北の礼文島に行きます。
稚内とほぼ同じ緯度にある"日本最北限"の島。

礼文島は、本州で標高2000m以上・北海道内部でも1600m以上のところでないと
見られない高山植物が海抜0mから咲き乱れ、"花の浮島"と呼ばれています。
今回の目的の1つはその厳しい自然が育んだ歌かな高山植物を見ながら島を縦走
する
ハイキングコースを歩くこと。


そしてもう1つの目的。
寒い気候の中で日本一アツい宿、「桃岩荘ユースホステル」に泊まること。

かつて日本でユースホステルが全盛期だったころ、そこでは多かれ少なかれ
ミーティングと呼ばれるイベントがあり、宿泊者や宿のヘルパーが一堂に会して
歌ったり語ったりするイベントが毎夜ありました。

時代は流れ、今や当時のミーティングの風習を色濃く残すユースホステルは日本で
ただ1つ。
当時からブッちぎりでハイテンションだったと言われる桃岩荘です。

その"最後のユースホステル"と呼ばれる桃岩荘には当時のユースを懐かしむ人から
他では絶対に味わえないテンションを求めてやってくる若者まで、多くの人が集い、
賑わいます。
北海道を旅していると「桃岩荘行ったことある?」という会話が必ず聞かれる。
その伝説の宿に今回は予約を入れました。


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7.12

7:50 出発

今回も飛行機使います。羽田空港から一気に稚内空港まで行きます。
飛行機の予約は前回の屋久島に続いて2回目なので、板に付きました。

…でも、なんか台風4号が来ているんですけど。
今は九州南部で大暴れしている様子です。
現在の東京はなんとか雨が降らずに持ちこたえているといったカンジ。

行きは問題ないでしょう。
しかし予定通りには帰って来れないかもしれません。台風直撃するかもしれません。
そうしたらシャレになりませんね。仕事どうなるよ。
ま、深く考えてもしょうがない。
予定通りに帰れないようだったら島の民にでもなりましょう。なんとかなるさ。


9:00 羽田空港

9:45発の稚内行きの飛行機に乗る予定です。
そしたら予定の飛行機に不具合が見つかったそうで、直前に飛行機変更。
なんか早速遅れが発生しましたよ。

10:30頃、新しい飛行機でようやく離陸。
ま、急いでいないのでいいんですけどね。
窓から外を見るとポツポツと雨が降り出した様子でした。台風が来るな…。

雲の上は晴天

12:05 稚内空港

やっぱり飛行機は早いね。
車で横浜から稚内まで行くと、青森に着く前にすでに休憩挟まないと倒れちゃうくらい
だから、それを考えると非常に早いです。



ターミナルから一歩足を踏み出すと、寒っ!!
気温15℃だってさ。関東の春先くらいの気温じゃないですか。
上着が無いと風邪を引くよ。

ここから確か稚内港まで行くバスが出ていたはず。
見つけたバスに声をかけてみたら、それが港まで行くバスでもうすぐに出発するようだ。
早速乗り込みました。

12:25 バス発車

バスの中は旅行者っぽい人たちでいっぱい。
この中に「桃岩荘」に泊まる人がいたらミラクルだよなー、いるかなー。…と考えてた。
そしたらほとんどみんな稚内駅前で下車しちゃいましたよ。
港まで行って島に渡る人は少ないみたいだな…。
(バス代 \590)


<稚内フェリーターミナル>

12:55 稚内港

ここがバスの終点。空はどんより曇っています。うーん、しょうがないか…。
フェリー出航は15:10。まだ2時間あります。どうしようか。

たぶん下界は曇っているのでしょうけど、飛行機は雲海を上を飛んでおり、
すこぶる快適。
着陸のアナウンスが入る直前に、雲海から突き出す利尻富士が見えてきた。
アレが見えると稚内に来たなって思います。

機内から見る利尻富士

まだあまり実感が無いけど

利尻島・礼文島行きフェリー

まずは当然フェリーのチケットを購入しておかないとですよね。
礼文島往復分のチケットを購入。
(フェリー代 \4400)

それから、目の前に見えている「北防波堤ドーム」でも見に行ってみようかな。


<北防波堤ドーム>
稚内港を強風から守るために作られた、ドーム型の防波堤。
ローマ建築みたいなオシャレな作りになってて、車のCMにも登場したことのある
ところです。

曲線が美しいドーム

去年の北海道ドライブでは稚内公園で引き返しちゃったから、ここのドームを見に
来るのは2005年以来だな。ちょっとだけ懐かしい。

そうだ、今日はまだ何も食べていないから、ご飯にしよう。


<「食堂 おもて」>
フェリーターミナルの正面にある、民宿と食堂を兼ねた店舗。
ここで昼ご飯にします。

13:15 「食堂 おもて」

メニューを見てみるとウニやらイクラやら定食やらいろいろありますが、ウニは本場の
礼文で食べよう。ここは海鮮ラーメンにしておこう。
(食費 \1000)

海鮮ラーメン

カニやホタテの入ったラーメンでした。わーい、いきなりそこそこ贅沢だ。
お腹いっぱいになった。


再びフェリータミナルに戻り、待合室で乗船を待つ。
出航30分くらい前になるとモリモリ人が集まってきた。
ここからは利尻島行きの便と礼文島行きの便がある。礼文に行く人が多いといいなぁ。

14:45 乗船

乗船します

15:10 出航

雑魚寝タイプの大部屋である2等船室に荷物を置く。
すると近くに空港から港までのバスの中で見かけた人がいました。
あ、あの人も礼文行くんだ。
僕のこと、覚えているかな?声をかけてみた。

その人は"25さん"という岡山県から来た人。
普段はバイク乗りで、結構日本全国を走り回っているし、北海道もかなり走りこんで
いるそうだ。
今回は島がメインで飛行機で来たんだって。

うおっ、それって僕と凄く共通点があるんじゃないですか?
ツールが車かバイクかだけで、ポリシーはかなり通じ合うものがありそうだ。
というワケで船内ではお互いの旅の話や、今回の旅の予定の話で盛り上がった。

25さんに礼文での宿を聞いてみたら、「桃岩」でなくて「星観荘」のほうだって。
残念、宿は別々か。
でも「3日後は桃岩に行くかもしれない」って。
おぉ、会えるといいですね。

そういうことを話し、お互い睡眠不足だったので港が近付くまで仮眠を取りました。


16:30頃、島が近付いてきた様子なので起きて、25さんとデッキに行きました。

羽を休めるウミネコたち

25さん&YAMA

ぶっちゃけ曇り空ね、相変わらず。
利尻島のほうに目をやると、利尻富士がすっぽり雲の中で何も見えていない。

しかし、僕らの行き先、礼文島を見てみると…。

雲の切れ間に礼文島!

どんだけ晴れ男なんだよってくらいに奇跡的な晴れ間が広がってます。
雲が礼文島にかかるところで切れています。島はきっと快晴だー!やったー!
そしてきっと明日も晴れだー!

明日は僕は「8時間コース」という島の西海岸を縦走するルートを歩く予定でして、
なんとしてでも晴れてほしかったのです。
25さんも星観荘チームとして明日歩くそうだ。きっと明日会えますね。


礼文島の香深港が近付いてきた。
それぞれの宿の人たちが港でお出迎えをしている。
そんな中、応援団が持っているような旗をブンブン振るっている人たちがいる。
あ・・・、絶対アレが桃岩荘だ。間違いない。

17:10 礼文島 香深港


荷物を持ってフェリーを降りる。25さんの行く星観荘の人も港に来ている。
ここで25さんとお別れ。
良い旅を!明日会えるといいですね!

そして、僕は自分の泊まる桃岩荘のヘルパーの人のもとへと向かう。
ヘルパーの"ツチノコさん"って人が桃岩荘のネームの入った旗を広げ、仁王立ちしている。

YAMA:「こんにちは、桃岩荘予約者です。」
ツチノコさん:「おっかえりなさーーい!!」

うわぁ、声が超デカイ。

ツチノコさん:「じゃあ向こうに青い車を停めてあるので、向こうのヘルパーに"ただいまー!"
 と言って名前を伝えてください。」
YAMA:「は〜い」

…と、歩き始めたらツチノコさんが数10m離れたトラックに向かって叫ぶ。
ツチノコさん:「おーーーーーい!!もっもいっわそぉぉーーーー!!!」

トラックの前にいるヘルパーがそれに答える。
マイカルさん:「おーーーーーい!もっもいっわそーーーー!!」

すげー!叫びすぎなのか、喉が潰れかけてるよ、2人とも。
トラックのところにいるヘルパーの"マイカルさん"に「ただいまー」「お帰りなさいぃ!!」と
挨拶し、予約の確認をしてもらう。
そしてトラックに荷物を乗せる。

桃岩荘の「ブルーサンダー号エース」

港から宿までは徒歩で40分ほどの距離があるので、フェリーで来た人はこのトラックで
運送してくれるのだ。
しかしここは寒い。風が強くて凍えそうなくらい寒い。

そんなこんなで同じ便で到着したメンバー7人が同様の儀式を通過し、トラック前に集まり
ました。そのうち2人はバイクなので自走、それ以外の僕ら5人がトラックに乗り込んで運
んでもらうそうです。
あ、ちなみにこの幌つきトラックの名前は「ブルーサンダー号エース」というらしい。

幌のついた荷台部分の向かい合う形でベンチ(?)が設置されており、それが客席に
なってます。
直に荷台に登るのは危ないとのことで特別にヘルパーが「お立ち台(踏み台)」と「手すり」
を登場させてくれました。
てゆーか、お立ち台はビールケースをひっくり返したもので、手すりはヘルパーのツチノコ
さんの腕でした。アハハ、ウケる。


そして全員が乗り込み、ツチノコさんから車の説明がある。
「このブルーサンダー号エースには音声認識機能があり、全員で"発車オーライ!!"と
言わないと発車できません。皆さん、せーので"発車オーライ!!"と叫んでください。」

「せーの、発車オーラーイ!!!」(←きっと一般人の想像よりずっと大きいシャウト)
港に着いている他の観光客がビクッとしてこっちを見てた。

ブルーサンダー号エースはオジサン1人が腕を突き上げるアクションを忘れていたため、
エンストして発進できませんでした。
改めて掛け声をし、「プップー!」というクラクションと共に発進!


あー…、ドキドキした。無事発進できてよかった。
メンバーの中に桃岩3回目の"ジャガ"っていう人がいて助かったわ。
ひと安心。(←実際はこの後も安心できる時間なんて無かったけど)

ブルサンの後をライダーの2人がバイクで追従する形で桃岩荘を目指します。
でも我々はトラックの幌の中なので外の景色がほとんどわからない。
幌は微妙に透明ビニールで窓みたいになっているところがあるので、そこから
外の様子を垣間見ます。

ブルサンの荷台の幌の中で、ツチノコさんが我々に島の案内をしてくれます。
島には信号機が2つあるとか、香深銀座という島のメインの通りは夜でも2・3人
くらいの若者でごった返すくらい栄えているとか。


ツチノコさん、島の説明をしながら唐突に「ここが8時間コースの林道の出口
です!!」とか言って後ろの幌をガバッと開けたりする。
その度に後ろを走ってるライダーの2人がビクッとしているのが見えた。

そしてブルサンは「桃岩タイムトンネル」に差し掛かる。
あぁ、ここがウワサでよく聞いてたタイムトンネルか。(←外ほとんど見えないけど)

「桃岩ッ、ターイムトンネルーーーー!!!時空が歪むーー!!」
ブルサンは蛇行し、クラクションの嵐がトンネル内に鳴り響いた。
どうやら日本で唯一時差がある礼文島の西海岸に来たようだ。
幌の隙間からは晴れ渡った海と礼文西海岸の大自然がチラッと見えた。


※タイムトンネルをくぐると、標準時より30分進んでいる桃岩時間というのが
 全ての生活の基準となります。
 フェリーの時間等に遅れないための配慮らしい。
 宿での全ての会話は桃岩時間が基準ですし、宿の時計も桃岩時間です。
 同泊者同士の会話ではまちまちなので、「それは標準時?それとも桃時?」
 みたいなやりとりもしょっちゅう。
 かなりややこしい。
 このサイトでは全部標準時で表記します。


宿が近付いたところで、ライダー2人がガレージにバイクをしまい、2人もブルサン
に乗り込む。
ここでも一度ブルサンは止まってしまったので、例によって「発車オーライ!」。

そして全員揃ったところでツチノコさんから指示が出る。
「桃岩荘に行くときには知性・教養・羞恥心を捨てなければいけません。
ここでポイッと捨ててください。」

…ということで皆で「知性・教養・羞恥心、ポイッ!」と捨てました。
「でも帰るときには忘れずに自分のものを拾っていってくださいね。でないと
社会復帰できなくなってしまいます。」だそうです。


<桃岩荘ユースホステル>
17:40 桃岩荘ユースホステル

着いみたいだー。
運転手のマイカルさんがブルサンの荷台を宿の玄関にピターッと縦付けする。
外に一歩も出ることなく、直に宿の中に雪崩れ込むそうだ。
「さぁ、皆さんはもうなんて挨拶するのかわかってますねー!大声でただいま
ですよー!」

ツチノコさんがガラッと玄関を開けると、女性ヘルパーや連泊客、先にチェックイン
している人が玄関に揃っていて「おかえりなさーーーい!!」と楽器つきで迎えて
くれる。こっちも負けじと「ただいまーー!!」と挨拶。


そして宿泊者カードに名前を書き、受付。
ユースは会員になると割引が聞くけど、それには年間6泊以上しないと元が取れ
ないらしい。僕は会員にならくていいや。
(1泊2食 \5725)

そしてみんなと一緒にヘルパーの"よーださん"による館内の説明を受ける。
桃岩荘は140年ほど前の鰊番屋を使用しているんだって。
ホールの真ん中に囲炉裏があり、歴史を感じさせる柱や梁が印象的。

2階の吹き抜けから見る囲炉裏

ユースなので基本は男女別の相部屋。
男性の部屋は独立していなく、中二階に囲炉裏の間を取り囲むように、グルリと設置
された2段ベッド、通称"回転ベッド"と言われるスペースになります。

他にもトイレ・お風呂・生活ルールについてのことを面白おかしくハイテンションに説明
してくれました。
そして、18:50から歌と踊りのミーティングが始まるそうですよ。
って開始まであと1時間も無いじゃないですか。

早速自分のベッドスペースに行き、お風呂の準備。

男性用2段ベッド

桃岩荘は挨拶を非常に大切にする。
お風呂に行くには食堂を通過しなければ行けないんだけど、そのときも厨房の中から
女性ヘルパーが「おかえりなさーい」と言ってくれるので「ただいまー」と返事。
数秒後、食堂を通過しきるときには「いってらっしゃーい」「いってきまーす」。

ちょっと外出したり、部屋の出入りをするだけで全員がこの挨拶をします。
最初はかなり違和感があったけど、翌日には僕も当たり前のようにやってました。


お風呂は家庭用のお風呂より若干大きいくらい。
シャワーは2つしかない。ぶっちゃけ狭いっす。4人が限界です。
港から一緒にブルサンで来た"M田君"と"ジャガ"がいたのでそれぞれ自己紹介をした。

M田君は一泊なので明日には島を出てしまうらしい。
ジャガは桃岩は3回目で、明日には「8時間コース」も歩くらしい。
おぉ、じゃあ明日は一緒ですね!いろいろ教えてもらえそうで嬉しいな。


ノンビリしている時間は無い。ダッシュでお風呂から上がり、そのまま夕食。
もうミーティング開始まで20分ほどしかない。
聞いてはいたけど、桃岩荘は自分の時間が持てないね。

食事は全てセルフサービス。カウンターからオカズとかを自分で取って行く。
食事は好きな時間に食べれる形式だし、頼まないこともできるので食堂は空いていた。
ここでもジャガとM田君とでご飯を食べる。

桃岩荘の夕食

…ま、お世辞にもいいとは言えません。北海道の幸とかもありません。
でも桃岩に食事を期待するほうが間違っているしね。
食事目当てで来たわけではないからね。全然OK。
というより時間が無いので速攻で食べる。

食後は自分達で食器を洗います。これも現在ユースでやっているのは桃岩だけらしい。
ちなみに桃岩では"掃除大会"という掃除の時間も存在します。(←強制ではないですよ)
一般の宿のようにサービスやくつろぎを求めることは出来ません。
しかしスタッフ・客という垣根が無く、"みんなで生活する"っていう一体感はどこよりも
生まれるのです。


凄まじいスピードでこなしたので、若干時間が出来た。
実はね、礼文島の景色をまだ見ていないのです。
せっかく晴れたみたいなのに、港からは幌付きのブルサンで外がほとんど見えず
(要所要所でツチノコさんが幌をめくってはくれたけど)、そのまま桃岩荘の玄関に
直結し、風呂と食事。

西海岸の綺麗な自然を全く見てないよ。このまま夜になっちゃうよ。
もし明日の天気が悪かったら、晴れている礼文を見ずに終わっちゃうよ。
同じことを考えていたM田君と一緒に玄関の外に出る。

桃岩荘 外観

桃岩とブルーサンダー号エース

桃岩荘の外観、初めて見れたわ。礼文の三大奇岩の1つ、「桃岩」もようやくじっくり見れた。
宿の周囲には何も無い。民家すら2kmほど離れている。
見渡せる範囲はほとんど桃岩荘の敷地らしい。だから外部の人が入ってくることも無い。
だからそこ気兼ねなく大声を出せるんだね。館内放送のスピーカーも1つは外についてて、
「ミーティングまであと5分ーー!!皆さん早く囲炉裏の間に集まってくださーい!」
とか周辺にまで響き渡っている。

桃岩荘の横は切り立った山

桃岩荘から見る猫岩

18:50 ミーティング

景色を見ていたら桃岩荘の中からミーティングの開始を知らせるヘルパー達の歌声が
聞こえてきた。
「ミーティング〜♪ (ドドンッドドン) ミーティング〜♪ (ドドンッドドン)」
ギターを弾き、太鼓を鳴らしながら宿の隅々まで宣伝しているようだ。
よしっ、そろそろ行こうか。
M田君と囲炉裏の間に入った。

あ、ミーティングの様子は今日は写真に撮っていません。
一泊目の人は前に座るように誘導され、ヘルパーにいじられる頻度も高いし、歌も踊りも
ぶっつけ本番なのでそんな余裕はありませんでした。


ミーティングは、男ヘル5人による前座(140種類あるらしい)でまだ空気になじめていない
客を和ますことから始まる。こっちも笑いの沸点を低くし、同じようにアホになって楽しむ。

そして島の紹介コーナー。
笑えるギャグから寒いギャグまでを織り交ぜ、ヘルパーが島の紹介をしてくれる。
しかし島の暮らしや文化を知る意味では非常にためになる情報が多く、特に明日に
「8時間コース」を歩く上では覚えておきたい知識がたくさんあります。

次にフォークソングっていうのかな?一昔前の歌を何曲か歌う。
囲炉裏の間の壁には歌の歌詞が一面に張ってあり、さらにヘルパーの一人が先行で
歌詞を読み上げてくれます。
ダミ声の上に血管ブチ切れんばかりのシャウトなので半分くらいしか聞き取れないん
ですけど、手拍子をし、慣れないながらも歌を口ずさんでいると仲間意識が芽生えて
くるものですね。楽しいね。

そして毎年ヘルパーやホステラーが協力して作っている「今年の歌」シリーズから
何曲か。1981年の歌とか歌いました。桃岩荘の歴史を感じさせるね。

途中途中で変装した男ヘルによる寸劇が何種類か行われ、いろんな意味での笑いが
起こったりする。
しっかしヘルパーたちはいつも真剣・全力で客を楽しませることを考え、行動も常に
キビキビしている。ミーティングでも額に汗して歌い、叫んでいる。
ヘルパーたちもかつて桃岩を愛したホステラーであり、当時のヘルパーに憧れて志願
した人たち。
そうやって桃岩の歴史は受け継がれてきたのかな。
だから「今年の歌」とかで古い年代の歌を、かなり変色した歌詞を見ながら歌ってると
ちょっとジーンと来た。

桃岩荘テーマソング
「島を愛す」

続いて桃岩荘のテーマソングである「島を愛す」の歌唱指導のコーナー。
「この漢字、難しいですけどなんて読むかわかりますか?」
と一泊目の人が質問される。

ネタバレになるので書きませんけど、桃岩荘では禁句となっている単語が歌詞の中
にあり、一泊目の知らない人がそれをうっかり答えてしまうと大変。
M田君もそれに引っかかりました。
「あぁーー!!その単語を口にしてしまうとはーー!!」
と崩れ落ちるヘルパー。

罰としてM田君は女装し、明日は"召国"という人口6人の集落に嫁いで礼文島の
人口を増やすように言われてしまいました。
続いて引っ掛けでうっかりタブーを口にしてしまった一泊目の女性の人もトドの
コスチュームを着て島の北部の無人島"トド島"永住を言い渡されました。
(なぜか頭は馬のコスチュームだったけど)

そんなこんなで「島を愛す」を3回くらい歌いました。
毎日歌うそうなのでこの旅で覚えて帰りたいね。


そして歌の踊りの桃岩荘、本番。
ここで今まで手拍子で歌うだけだった客側も立ち上がり、踊りが入ります。
古いアニメソングとかのメドレー。
歌も踊りも前のヘルパーを見ながら全部ぶっつけ本番です。
わわわ…、とても振り付けに付いていけない。
そしてヘルパーの動きがダイナミックすぎ。

でも常連さんとかは普通に歌い、付いていってるよ。すごいなぁ。
もう羞恥心とか言ってたら楽しみきれません。
どうせほとんど人が一人旅だし、日常の自分を知ってる人なんていません。
しかも周りを気にする余裕もないし。
もう開き直って歌え踊れです。アハハ楽しい。
(たぶん踊ってる時間は賞味10分ほどでしょうけど)


踊った後のヘルパーたちはもう汗だくになってハァハァ言ってる。
この後も各種宿の手続きや売店の紹介等を寸劇と共に行い、最後の歌、
「遠い世界に」を歌う。
30年位前から桃岩荘では毎晩最後にこの歌を歌っているんだって。
みんなで手拍子し、こぶしを突き上げ、歌った。

21:00、ミーティング終了。あっという間の時間だった。


間髪いれず、明日に「8時間コース」を歩く人は2回の食堂に集合し、説明を受ける。
M田君は8時間を歩きたがっていたけど、実は「8時間コース」って10時間以上は
かかる。
みんなとペースをあわせると、島を出るフェリーの最終便にも間に合わなくなるので
断念したようだった。

明日、8時間コースを歩くのは6人。
最盛期だと50人くらいを数グループに分けるみたいだけど、和気あいあいと行くなら
このくらいの人数がちょうどいいかも。
ヘルパーのよーださんに説明を受け、リーダーとサブリーダーが決定した。

リーダーは桃岩3回目で8時間経験者でもある"ジャガ"。
サブリーダーは女性の"のんたん"。
その他のメンバーは、さっきミーティングでトドのカッコをさせられた女性、"トド"。
港から僕らの乗ったブルサンを追いかけてバイクで来た、ライダーの"オレサン"と
"マチクリ"。そして僕。
全員桃岩一泊目だし、ジャガ以外は礼文島も初めて。
明日はよろしくお願いします。

明日の昼食となる圧縮弁当の料金を支払い、解散。
(食費 \500)


時刻は21:30。
自由時間がやって来ました。
しかし桃岩での消灯は22:00。あと30分しかありません。

桃岩荘は一般では連日徹夜でバカ騒ぎをしているイメージもあるそうですが、
実は時間や規則は普通の宿よりシビアです。
22:00の消灯を過ぎると宿の中は本当に真っ暗になりますし、宿の中では飲酒は
一切禁止。酒気帯びも禁止。あと、タバコも外でしか吸えません。
囲炉裏の間と食堂以外で飲食もできません。しかもヘルパーは頻繁に掃除している
ので、桃岩荘の中は凄く綺麗です。


そんなワケであと30分。
熱気を冷ますために外に出てみました。
星が見えないかなーと思ったけど、曇ってしまっているようだ。
辺りには家すらないので完全に真っ暗。そして寒い。
でも大自然の風に当たっているのは不思議と心地いいのだ。
外に出てきたヘルパーの人とおしゃべりし、ラスト10分で戻って歯磨きと明日の
トレッキングの支度を整える。

そして回転ベッドから囲炉裏の間を見下ろしながら、M田君とおしゃべり。
僕は明日は5:00起きだから、M田君とこうして話せるのも今が最後だ。


22:00 完全消灯

まだアドレナリンが出ていて眠くないけど、明日のためにも頑張って寝よう。
非日常的な1日だったな。

「千と千尋」のキャッチコピーじゃないけど、『トンネルの向こうは不思議の町でした』。

Chapter.2

Chapter.3

Chapter.4

エピローグ

Chapter.1

Chapter.1

Chapter.2

Chapter.3

Chapter.4

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