Chapter.2 九州最高峰 宮之浦岳

5.24
4:40 起床

ウゲー…、眠い。でも今起きないと宮之浦岳を日帰りで生還できない。
フラフラと起き上がって準備をした。当然他の人はまだ誰も起きていない。
昨夜は僕が寝た後に常連さんグループが帰ってきてダイニングで飲み会をしていたらしく、
2:00近くまで賑やかだったのでなかなか寝れなかったのですよ。

まぁいいや。ここは気合いで行こう。
まだ薄暗い外へと出て行く。

5:10 出発


宮之浦岳へは安房の町から内陸部に入った「淀川登山口」から登ります。
宮之浦の町から安房までは車で30分ほど。
そして安房から登山口までは山間部の狭い道を1時間近く走ります。

安房から標高を上げていると、背後から日の出が見えた。

太陽が昇り始める

反対に目指す山側はしっかり雲に包まれている。
うーん、雨かも…。
まぁいっか。屋久島は雨が降ってて普通でしょ。これで雨が降れば苔も輝くしね。

道路は雲の中へ

安房から30分ほどで道が分岐する。ここを右に行けば「縄文杉」方面の荒川登山口に
行くんだな。縄文杉へは明日に行こうと思うので覚えておこう。

そして間もなく「ヤクスギランド」前を通過。
このヤクスギランド、ファンシーなネーミングなので島が好きな人からは不評だって昨日
の同泊者の人が言ってた。なんだか遊園地みたいに聞こえちゃうからね…。
ヤクスギランド、実際は原生林の中のバリバリの登山コースです。


<紀元杉>
6:15 紀元杉

車で根元まで行ける数少ない屋久杉です。

ちなみに、樹齢1000年を越えた杉のみを屋久杉と呼ぶそうです。

紀元杉 (樹高:19.5m 周囲:13.3m 樹齢:3000年以上)

雨がポツポツ降ってきたし、周囲の杉の木が霧に飲み込まれている。
完全に雲の中に入っているね。
道路は擦れ違い困難なほど狭くなり、舗装も荒れてきた。愛車の「サー君」だったら
こんな道は余裕だけど、軽自動車のキャロルだと目いっぱい減速しないと「バキッ!」
と変な音がして危険だ。


6:30 淀川登山口

道路の突き当たりにありました。数台分しかない駐車場は既に満車。多くの登山客が
ウォーミングアップをしていました。うん、ちょっと到着が遅すぎたか。
Uターンし、500m近く下った路肩にキャロルを駐車。

雨はなんとか止んだみたいなので、このままの格好で登れそうだな。
ゴソゴソと支度をして、登山口まで戻る。ここにはトイレがあったので寄っておく。

あ!
そういや昨日ケンさんが「登山用に宿の地図を持って行ったら」って言ってたのに
忘れてきちゃったよ。
でも登山口に簡単な地図の描いてある看板があったからそれをデジカメで撮影しておこう。

往復16km。高低差は約600m。
目指すは最も南に位置する日本100名山であり、九州最高峰の宮之浦岳山頂。
標準往復時間は9時間10分らしい。なんとか行けるでしょ。じゃあ行ってきます!

6:47 淀川登山口から登山開始

…グハッ!早速ですが睡眠不足が効いてます。
あと、ペットボトルの中に水が残り2口分しかなかった。
それと靴がいつも職場に履いて行ってる普通の靴だった。


起伏の激しい序盤の山道を歩いていると、すぐに霧の向こうにボウッと「淀川小屋」が
現れた。

7:05 淀川小屋

わりといいペース?

小屋では大勢の人が登山準備をしたり朝食を食べたりしている。
ここはサクッと通過しよう。(あとになってここに水場があったことに気付いてショックを受けた)

小屋を過ぎると水の澄み切った「淀川」の上を渡る。
これには思わず足が止まります。

淀川の上から

ここから道は一気に急勾配。階段だったり岩場だったりをモリモリ登ります。
かなり体温は上がるんですけど、現在雲の中にいるようで辺りは水の粒子が舞っている。
そのおかげで涼しく感じられて頑張れます。
…服や髪はどんどん濡れてくるんだけどね…。
水…。喉が乾いた。


しばらく急な山道を登っていると、開けたところには巨大な杉が立っているのを見かけるよう
になる。名前もない杉だけど、屋久島ならではのその雄姿を見るとなんだかワクワクしてくる。
明日はいっぱい有名な杉を見る予定なので楽しみになってくるね。

霧の中に立つ杉

<小花之江川(こはなのえごう)>
7:50 小花之江川

小さな清流です。急に視界が開けました。
この川はほとんど流れが無い、湿地帯みたいな感じです。
ここだけ木の歩道が出来ていて川の上を渡りました。

小花之江川

このあたりから足元はチョロチョロと小川が流れていたりします。
小川というか、たぶん雨水。

屋久島はそのほとんどが火成岩である花崗岩でできており、土壌は痩せている。
だから杉は地中に根を伸ばすことが出来ずに岩の上を這うように伸びてるんだね。
そういや富士の「青木ヶ原樹海」もこれと同じような環境だね。

だけど屋久島は雨が多いからこんな環境でも植物はしっかり育ち、雨のせいで
太陽光も不足するけど、そのために年輪がとても密になって腐りにくく長寿になる
みたいです。


花之江川
7:57 花之江川

さっきの小花之江川よりちょっと大きくて立派。

杉の根も清流の中に

花之江川

ここまで来ると随分登山客も少なくなってきた。
たぶん序盤に随分抜かしてしまったので、もう前方にはほとんど残っていないんだと思う。

まぁこれは僕の脚力があるというわけではなく、単にほとんど荷物を持ってないから軽い
だけなんですけどね。
他のみんなはしっかりとレインウェアを着込み、40リッターくらいの巨大リュックを背負って
サバイバルなカッコをしていますからね。
僕みたいな普段着の人はまずいなかったです。逆にちょっと恥ずかしいくらい。

足元に綺麗な苔が

8:05 黒味岳分岐

黒味岳はここから30分ほどの山で、分岐にはいくつか巨大リュックが置いてある。
きっと黒味岳を往復する人が置いて行ったんだね。

黒味岳は下調べではなかなか気に入った山だったんだけど、この天気では展望も
望めそうに無い。現にここから見える黒味岳も霧の中に霞んでいる。
無理して寄らずに宮之浦岳だけを目指そう。

黒味岳分岐

ここからは前にも後ろにもほとんど人がいなくなった。
宮之浦岳山頂までで会えたのは2組だけ。
声のかけられ方が「淀川の小屋から来たんですか?」と聞かれることが多いから、
ここまでかかった時間的に小屋の宿泊者だと思われているのかな?

ここでようやく水をゲットした。
もっと早く花之江川あたりで汲んでおけばよかった。
屋久島の森の中の水はだいたい飲めるそうで、どこもすごく澄んでいる。
水の中の微生物が少ないらしいです。


<投石平>
8:20 投石平

周りの植物の生態系が変わった気がする。
視界が開け鬱蒼とした森や杉がなくなって、花崗岩の合間に生える低い木立と
ところどころにある
水溜りとも小川ともつかない水場が特徴的です。

低木が多くなった

霧の粒子が大きくなってきた。そろそろこれ、雨に変わっちゃうかも。
じゃあここいらで軽くオニギリを食べて休憩にしようか。
10分ほど休憩。

ここからロープを使って急斜面を登るところや、渓流が伝う大きな花崗岩の一枚岩を
よじ登るようなスリリングな箇所も増えてきた。
楽しいけどさ、もう下半身がグチャグチャ。
靴の中にも水が入ってきたみたい。登山靴じゃないからしかたないね。
髪も気づかないうちにズブ濡れになっていたからタオルで拭いた後にタオルを頭に
巻きつけておいた。


しばらくは花崗岩の織り成す複な地形を縫うように進み、そして登山路は一気に空を向く。
ヒィー、ここから最後の激坂だな。残りのパワーを集中させよう。

巨大な奇岩がゴロゴロ

ここ、ありえないようなポジショニングの奇岩が多くて楽しみにしていたんですよ。
写真で見たことのある岩をいくつか発見できたんだけど、やっぱ霧がかかっていて
残念かな。
晴れていれば青い空と緑の山と、そこに生える白い岩ってカンジで最高だったと
思うんだけど。
…天気が悪くても素晴らしいことには変わりは無いですけどね。


<栗生岳>
9:15 栗生岳

ここも山頂には変な形の岩が乗っかってます。
だから厳密には山頂には立てないからここを頂上としていいのかな?

栗生岳(標高:1867m)

登りはさらに急になる。
ゼェゼェ、宮之浦岳、まだ?


<宮之浦岳>
9:24 宮之浦岳

着いたー!展望は全然だけど、登れてよかったー!先客は一名だけ。
挨拶し、写真を取り合ったりした。
ここまでは登山開始から2時間37分。良かった。日帰りできそうだ。

宮之浦岳(標高:1936m)

ここで残りのオニギリを食べ、しばらくくつろぐ。ここは札幌と同じ気温だそうだ。ちょい寒い。
後からもう1人登ってきたので写真を撮ってあげたりした。
…じゃまた頑張って下山しますかねぇー。

少し日が差して明るくなってきた山道を下ります。
投石平に降りるまでに数10人の人と擦れ違う。行きのときに出会い、挨拶した人たちだ。
もうちょっとです、頑張ってください。


投石平で雨が本降りになってきた。そろそろヤバイね。
レインウェアをリュックから取り出した。でもズボンや靴の中は既に濡れまくっている
ので着るのは上だけにした。

屋久島は土が浅いので、雨が降るとすぐに川ができる。
登山路も行きと比べるとところどころに小川が出来ていたり、水溜りになっていたり。
ギャー、ますます靴が濡れる。
岩場は滑りやすいので一層の注意が必要だ。
下りは苦手だからゆっくりゆっくり行こう。明日も山を歩くんだからここで無理をしても
なんにもならないから。


ヒザがギシギシ痛む。なるべくヒザに負担をかけないように体重移動に気を使う。
フラフラしながらまた花之江川を通過。

淀川小屋が近付くとまた樹林地帯となり、先ほどからの雨で杉や苔が瑞々しく生き生き
してる。
今日は展望はイマイチだったけど、雨のおかげでこういう身近なところで綺麗な光景を
見れるから考えようによっては良かったかな?

緑は雨で甦る

12:35 淀川登山口

無事下山!フラフラ!眠い!
グッタリしながら車を駐車したところまで歩く。このアスファルトが異様に長く感じられます…。
車に戻り、タオルで頭を拭き、服を着替える。

車の中で昼寝をしようかとも考えたんだけど、なんやかんやで結局昼寝せずに走ることに
した。替えの靴下とかまでは持って来てないから気持ち悪いし、一旦「晴耕雨読」に帰ろう。

山を下っていくと雲の下に出て雨が小降りになってきた。


<川上杉>
「紀元杉」の近くにもう一本大きい杉があったのだね。行きは気付かなかったな。
車窓から眺めて通り過ぎる。

13:10 川上杉


<晴耕雨読>
14:00 晴耕雨読

グロッキーな状態で帰還。フゥー、疲れたよ。
初対面の女性"ふくちゃん"がダイニングにいたのでご挨拶。
(最初年上かと思ったら、しばらく後に結構年下であることを知ってビックリ)

ふくちゃんはもう2週間も屋久島にいるんだって。
あれ?でも昨日は会わなかったよね?…と思ったら昨日は外泊していたからだそうで。


オーナーのアイコさんもいたので、昨日宣言したとおり宮之浦岳を無事日帰りできた
ことを報告。えらくタイムが早いらしくてビックリされました。

そりゃもう早い分だけクタクタですけどね。
ふくちゃんが自分で撮った快晴の日の宮之浦t岳の画像を見せてくれた。
うわー、最高じゃないっすか。軽く嫉妬だよ。

で、いろいろふくちゃんと話をしているうちに昨日僕が見つけられなかった一湊の喫茶店
「ときどき滝が見える」の話題になって、ふくちゃんはその店の存在は知らなかった
みたいで、「じゃあ今から行きましょうか?」という流れになりました。
喜んで!

アイコさんが「シャワーを使っていいよ」と言ってくれたので、ドロドロになってた体を
洗い流してサッパリし、早速車で出かけました。


15:00 出発

晴れてる!
さっきまであれほど土砂降りだったのに、雲ひとつ無い青空が広がっているよ!
キャロルの窓を開け、一湊の町まで快適ドライブです。

ふくちゃんとお互いの旅の話をした。
ふくちゃんはもう4年ほど前から何度も屋久島に通い詰めていて、島にいろんな
知り合いが出来ているんだって。島への愛着を凄く感じた。

今回も自転車で島一周したりカヤックしたり縦走する登山路を歩いたりとワイルドに
島を楽しんでいるらしい。
すごいなー。
僕なんて車が近くにないと落ち着かないから、車から離れることの多い今回の
屋久島プランでさえ結構頑張っちゃってるもん。


<「喫茶 ときどき滝が見える」>
15:30 「喫茶 ときどき滝が見える」

昨日観光した「布引の滝」の駐車場のすぐ横にありました。
地味な看板(?)で店っぽくなかったから昨日は気づかなかったよ。

土砂降りの下山

発見!

天気がいいのでテラス席に座る。テラスにはハンモックもあった。
コーヒーと黒糖バタートーストを注文。

テラスを吹き抜ける風が気持ちいい。
だってさ、クタクタになるまで山を歩いて、そしてシャワーを浴びてさっぱりして、そのあと
風に当たりながらのんびりコーヒーですよ?最高じゃないですか?
…ってふくちゃんに言ったりした。

テラスから見る青空

コーヒーと黒糖バタートースト

トーストはほのかに甘くておいしかったです。
写真のトーストが一部欠けてるのは、写真を撮る前に「もうガマンできない!」と
一口食べてしまったからです。

リフレッシュした。疲れが取れたような気がした。
風で揺れる木立の合間から、ときどき滝が見えた。
(食費 \750)


<布引の滝>
昨日と同じところ。ちょっと水量は増加したかな?
涼しげな滝の流れからマイナスイオンをいっぱいいただきました。


<晴耕雨読>
16:40、また晴耕雨読に帰ってきました。
戻ってくるとちょっとグッタリ。やっぱ疲れていた??
昨日一緒だった常連さんたちが今日の最終の飛行機で帰るらしく、ドタバタしていた。


本日残っているのは、ふくちゃん・ケンさん・はるさん・そして僕らしい。
今日の夕食はここで作ろうか?ってなり、4人でなんやかんやとモメた後にメニューは
無難にカレーになった。
はるさんとふくちゃんがご飯を炊く準備をしてくれるそうで、僕とケンさんでAコープまで
車で食材を買出しに行くことにしました。

18:00頃 買出し

野菜とかビールをガツンと買いました。あと、独断でポップコーンを買って帰りました。
そういやね、晴耕雨読は米1合を80円で売ってて、さらに調味料は以前の宿泊客が
残して行ったのがあるから困ることはない。
もし無かったら買い足して、それがまた今後の宿泊客の役に立つってカンジです。


晴耕雨読に帰ると、買出しに行く直前にチェックインした千葉の"けーん君"もダイニング
にいて、5人で一緒にご飯にしました。

僕はもうお酒を我慢できなくてさ、速攻でふくちゃんとカンパイして飲みだす。
お通しとしていきなりポップコーンなんかを皿にザザッと開けるような暴挙に出た。
自分をフォローするために「さすが屋久島のポップコーンはうまいなぁ!」とか言ってみた
けど、パッケージを見たらモロに製造元が東京だったり。

そんでビールをグビグビ飲み、ポップコーンを食いながらツマミ用のイカを炒めた。
一方ケンさんは酒も飲まずに真面目にカレーを調理中。
えっと…、すいません。
あ、ジャガイモの皮剥きます。
酔ってるけど剥かせてください。

ケンさん作、カレー完成!

カレー、うまいです。酒もうまいです。
さらにはキビナゴもケンさんが調理してくれた。

さっきチェックインした"けーん君"は宮崎での免許合宿の帰りにフラッと屋久島に立ち寄った
らしく、今後の予定や滞在期間も全く考えてないらしい。
すげー自由人!
「屋久島には何があるんですか?」とか「エッ!雨ばっかなの!?」とか言ってる。
アハ。でもこのくらいのほうがいろんなものを吸収できると思う。


こうやってついさっき出会ったばかりの人たちと酒を酌み交わす。
日常じゃあんまりないことなのに、旅だとごく自然にできるってのが不思議だよね。
オーナーのサブローさんの所属するグループのCDを聞きながら5人で語り合う。

なんかずっと屋久島にいたい気分になってくるね…。
ヤバイ、酔って来た。睡眠不足と昼間の疲労がキテる。普段の3倍酔う。

(食費・酒代 \800)

居心地のいい空間

酔いも回った頃、ふくちゃんの提案で近所にホタルを見に行くことにした。
「白谷雲水峡」方面に車で10分弱でホタルのいる公園に着くんだって。

5人でキャロルに乗り込み、運転はまだお酒を飲んでいないケンさんが担当。
夜の屋久島をドライブしました。


<屋久島総合自然公園>
真っ暗な中に小川が流れている。
その周囲を無数のホタルが飛び交っている。
手が届きそうな近くもホタルは点滅を繰り返しながら通り過ぎていく。

幻想的な光景だな。
酔いが回って気持ちのいい僕は、みんなからちょっと離れてホタルをボケーっと
眺めていました。

帰りの車の中では半分寝てた。


再び晴耕雨読に戻り、みなさんは風呂とか寝る準備を始めたようだ。
ケンさんとはるさんとけーん君は明日は「白谷雲水峡」に行くんだって。
僕も着いて行きたいけど、白谷は最終日にとっておこう。

ケンさんと酒を飲む。
ケンさんは今日が最後の夜。僕は「縄文杉」を見るために明日も早起きだから、
おしゃべりできるのはこれが最後だね。


随分酔って就寝。
明日はちゃんと起きれるのかな?

22:30 就寝

Chapter.1

エピローグ

Chapter.4

Chapter.3

Chapter.2

エピローグ












Chapter.4

Chapter.3

Chapter.2

Chapter.1